歯科Q&A

顎の小さいのはやわらかい食べ物のせいでしょうか。

2019.06.19

やわらかい食べ物が多くなったことが顎の発育が悪くなる根本の原因ではありません。ガムは、唾液を出す道具としてとらえれば、どんどん嚙ませなければいけません。

日本で「顎が小さくなった」と言われるようになったのは、顎に歯が並びきれず歯並びがガタガタした子が多くなったからです。

その原因がカレーライスやハンバーグ、ファストフードなどやわらかい食べ物にあるのではないかとささやかれていました。

アメリカでは日本の何倍ものファストフードやハンバーガーなどが食べられているにもかかわらず、顎が小さいことなど問題視されていなかったのです。

なぜ日本でこういう現象が起こったのか。それは30~40年前から日本の育児からおしゃぶりが消え、指しゃぶりも好ましくないと嫌われ、甘いものも虫歯になるからだめ、ガムもだめ、と言われだしたからではないかと考えています。おしゃぶりや指しゃぶりは、生まれたときから自然に口腔の筋肉、特に舌の筋肉を鍛えるための大事な手段であったはずでしたが、育児上不衛生だとか、口が開いてしまうとかの理由でとりあげられてしまったわけです。

たしかに日本人の乳歯の虫歯は減りました。しかし、おしゃぶりやガムが消えたために赤ちゃんから幼児期、そして小学生のころまでにやらなければならない「唾液が出る→唾液を飲む」という舌の筋肉をつけるための運動が行われなくなってしまったのです。

人間にとって、将来生きることそのものを鍛練する行為が人工的に絶たれたわけです。舌の筋肉の発達も未熟な子どもたちは、やわらかいものしか飲み込むことができず、嚙んで食べるとうまく飲み込めないので、口に食べ物をためてしまうようになり、常にやわらかくて飲み込みやすい食べ物を好むようになります。そうなるとますます舌の筋肉が育たないので、歯が歯列に並ばなくなってしまったのです。

つまり、本能がそうさせているような行動、たとえば指しゃぶりや唾液を出させるような自然な行動はむしろさせなくてはいけないのです。生きていく上で必要な酸素をいっぱいとり込むために必要な行為の原点は舌の筋肉を作り、唾液をいっぱい出して飲み込み、歯列を作ることです。

二歳くらいまではおしゃぶりを与え、三~四歳過ぎたらガムを嚙ませることです。最近ではキシリトールやパラチノースなど、蔗糖のかわる甘味料の入ったガムもふえています。これなら虫歯も防げますし、唾液を出すこともできて一石二鳥です。

ガムはなるべくかたい嚙みごたえのあるものを選び、梅干や酢漬けいかなど、すっぱくて嚙みごたえのある食品もおすすめです。こうした食品で唾液を出し、舌の筋肉をどんどん鍛えましょう。

上記は、各務 肇先生のご本より出展しております。

 

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