歯の移植
歯の移植治療について
歯の移植という治療を知っていますか?
人の歯は、自分のお口の中で移植ができます。例えば、親知らずや矯正で抜いた歯を、そのままむし歯や事故で歯を失った場所に埋める(移植)ことができます。
歯を失った場合、固定式のブリッジか取外しする入れ歯、埋め込み手術が必要なインプラントの3者選択になります。ブリッジは失った歯の両隣の健康な歯を削るデメリット、入れ歯は見た目や装着感が気になる方もいらっしゃいます。どちらにしても残っている歯に負担がかかるという問題点もあります。そうした点を解消してくれるので、インプラントはとても有効な治療ですが高額な治療費が必要です。
当院では4番目の選択肢として歯の移植の提供をしています。
インプラントと歯の移植の根本的な違いは、天然の歯が持つ歯根膜があるかないかです。歯根膜はショックアブソーバーのように働き歯と歯茎を固定し、しかも鋭敏な感覚を司っています。それにより周りの歯と同じような噛み心地を得られ、噛む力もコントロールしてくれます。つまり、歯の移植によって、歯を失う前と同じようなお口の状態にすることも可能になります。
歯の移植の治療例
左上の画像:奥歯が抜けて無く、3本治療中の歯があります。
下のレントゲン画像:奥歯が無く、インプラントを埋め込むような骨が残っていません。困りましたが入れ歯にしたくないという患者様の希望を叶えるため、左下奥に残っている親知らずを抜いて左上6部に移植することにしました。
左下8を抜いて左上6の歯の無い歯茎に穴をあけて移植を行いました。
左上に移籍したところです。
親知らずの移植は保険適用で治療を受けることができます。
奥歯が抜けてしまった場合、その部分を補うためにブリッジをしたり入れ歯をしたりインプラントをしなければいけなくなります。
しかし、もし健康な親知らずが抜かずに残っていればそれを抜けた場所に移植して使うことができるのです。インプラントと似たような方法ではありますが、自分の歯であるため、咬んだ感触が天然の歯と同じで、インプラントより手入れもしやすく感染も起こしにくいです。
また、自分の親知らずですので体への適合性も非常に高いです。親知らずは、生える場所が悪く不必要になることが多いですので、万が一のときにはこのような移植の用途として使うことができます。
歯の移植が出来るかどうかは、親知らずが健全であり、根の形や歯の大きさが適切であることが条件となります。この条件に合えばとても素晴らしいいい方法となります。そして一定の用件を満たせば保険適用3割負担の場合6,000円前後(手術費)で行うことができます。
親知らずの移植のメリット
歯根膜というショックアブソーバーがあるので、インプラントより自分の歯と同じような感覚で噛むことができます。感染に強くインプラントより手入れが簡単です。保存できない歯を抜いた日と、同じ日に親知らずや埋まっている歯を移植する場合は保険の適用を受けることできます。
移植手術後に行わなければいけない事
移植した歯は、歯の根の周囲にある歯根膜という組織によって骨とくっつきますが、歯の中にある神経は残念ながらくっつきません。この神経をそのままにしていると神経から悪い物質が出てきて移植した歯がとれる原因になります。そのため移植した約1~1.5か月後に歯の神経の治療が必要になります。
20歳未満の方で、歯の根が完成していない歯(根未完成歯)が残っている人についてはこの限りではありません。
一度お口の外に出しますので、将来的に歯の根が吸収され身体が移植した歯を異物と認識して移植した歯を排除してしまうことがあります。
移植手術の方法・手順
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Flow01
お口の中をお掃除する(清潔でないと、移植した歯がつかないことがあります)
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Flow02
歯を抜いて移植します(約30~40分)
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Flow03
次の日消毒をします(10分)
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Flow04
1週間後、糸をとります(10分)
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Flow05
1か月後、歯の根の治療を始めます (30分)
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Flow06
1~2ヶ月に1度、歯の根の薬を交換します(10分)
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Flow07
移植した日から約6ヶ月後に歯の根に最終的な薬を入れます(20分)
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Flow08
歯に心棒を入れ、被せる歯をつくるための型をとります(30分)
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Flow09
歯を被せます(20分)
歯の移植のリスク・副作用
治療後、痛みや違和感、出血、腫れなどが出る事があります。
喫煙者、糖尿病などの方の場合、歯が生着しない場合があります。
歯の移植に関する質問
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Q
どういう人が適応(対象)になりますか?
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A
- 奥歯の無い方
- 奥歯が1本欠損して(1本無くて)親知らずは残っている方
- 1本インプラントを検討されている方
- 大きなむし歯が奥歯にあり、抜歯しなくてはならない方、抜歯を検討されている方
- 奥歯にヒビが入ったり、割れたりしている方
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Q
保険は使えますか?
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A
保険でできる条件は、移植できる歯が「親知らず」か「埋伏歯」と決まっており、移植する場所に歯がまだ残っていることが条件となっています。
既に抜かれてしまって、もともと歯がない場合は、保険外となります。
このように保険治療において「歯の移植」は制限があり、ハードルが高い物となっているのが現状です。
ご自分の歯の状態が「移植」可能なものかどうか、詳しく調べ診断させていただきます。 -
Q
抜いた歯は、どの歯にも(奥歯でも前歯でも)移植できるのですか?
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A
抜いた歯の根と、移植する場所の骨の幅が合えば、基本的にどこでも移植は可能です。
移植する場所に対して大きすぎる場合は移植することは出来ません。サイズの問題になりますので、事前に診査・診断が大切になります。 -
Q
抜いた歯の頭(歯冠)はそのまま生かせますか?
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A
歯の移植治療は基本的に「根」の部分だけを使用し、その根がしっかりくっついた時点で、銀歯をセラミックに被せます。
形の良い場合は、プラスチックを詰めるだけで終わることもできます。 -
Q
どれくらい長持ちしますか?寿命は?
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A
条件にもよりますが、5年~10年を1つの目安と考えてください。
当院の患者様で最大で10年以上機能している方もいらっしゃいます。 -
Q
インプラントと移植、どちらがいいですか?
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A
当院の治療方針としては、可能であれば、移植をおすすめしています。
インプラントとの決定的な違いは「歯のショックアブソーバー」の役目をしている「歯根膜(しこんまく)」が機能していることです。値段もインプラント治療に比べ、費用を抑えられます。(保険適用なら15,000円程度、自費なら100,000円~※本数によって変動します) -
Q
移植はどこの歯科医院でもできるのですか?
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A
技術を要し、手間暇もかかるので、導入している医院は限られます。
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Q
腫れたり痛んだりすることはありますか?
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A
なるべく痛みや腫れを抑える方法をとっています。