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いえさき先生のコラム

かみ合わせコラム

噛みしめの害

通常、リラックスした状態では上下の歯の間には安静空隙と呼ばれる1~3mm程度の隙間があるものなのですが、緊張している時や何かに熱中している時、忙しい時などの場合に上下の歯が噛み合う状態となる事があります。

噛みしめ、食いしばりの事を指すのですが、これをクレンチングといいます。

わずかな接触であってもそれが長時間続けば、周りの筋肉が緊張状態となり、
それが慢性的なものとなると交感神経の緊張が続き、口腔内に限らず全身において様々な問題が生じることがあります。

歯の痛み 顎関節痛 口内炎 口臭 歯周病 唾が出にくい 頭痛 肩こり
腰痛 背中や首の痛み 目の疲れ 手足の冷え めまい 難聴 不眠
寝起きが悪い 元気が出ない 気分が落ち着かない 精神的の落ち込みetc・・・

大事なのは、クレンチングが口腔内や全身に悪影響を及ぼしていることに気づき、噛みしめない事を意識することが重要なのです。

ご自身で出来る事としては唇や頬、あごの力を抜く、ストレスをためず噛みしめに気づいたらすぐに歯を離す、などの意識が必要です。

無意識のうちに始めてしまうものでもあるので難しいのですが、まず日頃から噛みしめない!と心掛け、仕事やデスクワークに集中している時などは少し冷静になり、噛みしめていないかどうか意識すると良いでしょう。

自分で歯ぎしりをしていると自覚をしていることは少ないですが、夜中にギリギリと歯ぎしりしていると、朝起きたときに顎が痛い、なんとなく頭痛や肩こりが続くという症状がでます。また、一緒に寝ている人に指摘されて気が付くことがあります。歯ぎしりは、気が付かないうちに、歯や顎にとても悪い影響をもたらします。
ここでは、歯ぎしりの原因や治し方を説明していきます。
1. 歯ぎしりにはどんなものがあるの
歯ぎしりと聞くと「夜寝ているときにギリギリ歯をこすり合わせて音が出ること」を思い浮かべますが、それだけではありません。
音が出ない歯ぎしりや昼間起きている間の歯ぎしりの種類があります。

①就寝中の歯ぎしり
歯ぎしりの種類として以下の様なものがあります

・グラインディング
いわゆる普通の歯ぎしりのことで、顎を動かして歯を擦り合わせギリギリと音を出します。

・タッピング
顎を上下に小刻みに動かして、上下の歯でカチカチという音を出します。

・クレンチング
顎は動かさず、ギューっと噛みしめることを言います。音が出ないので周りの人は気が付きません。いわゆる噛みしめ癖です。

②起きているときの歯ぎしり
・上下の歯をいつも接触させる癖(TCH)
通常リラックスしている時は、上下の歯の間には2mmから3mmの安静空隙という隙間があります。しかし、緊張しているときやストレスがかかっているときに上下の歯が噛んでいることがあります。
この癖を「歯をいつも接触させる癖(TCH)」と言い、歯ぎしりの一種と考えられています。

2. 歯ぎしりの原因
歯ぎしりの原因は、何でしょう?

・ストレス
歯ぎしりの主な原因はストレスと言われています。配偶者との別れ、退職や転職などの環境の変化などでストレスを強く感じ、歯ぎしりを行うようになってしまいます。ストレスと言ってもストレスは、心理的ストレスだけに限りません。気候の変化、気圧や気温、湿度の変化なども体にとっては大きな肉体的ストレスとなっています。歯ぎしりは、そのストレスを発散するための行動であると言われています。歯ぎしりを行うことでストレス解消をしているわけです。ですからストレスを感じる時に、歯ぎしりをするわけです。
疲れていると肉体的にも精神的にもストレスが溜まってしまいます。そのストレスを解消するために、歯ぎしりを行ってしまうことがあります。
お酒を飲む席では会話が弾んで人間関係が円滑になったり、少量の飲酒は気分転換になったりとお酒は生活を豊かにしてくれるものですが、大量の飲酒は眠りが浅くなり、ストレスが溜まってしまいます。それにより、歯ぎしりを誘発してしまいます。
咀嚼筋(噛むための筋肉)は、ストレスや日中噛みしめていることによって強張ってしまいます。それを和らげようとして、歯ぎしりを行ってしまいます。

・噛み合わせの悪さ
一般的に噛み合わせが悪いと歯ぎしりを行ってしまうと言われています。

・集中している時
昼間の歯ぎしり(上の歯と下の歯が接触している)は、パソコンでの作業や家事など何かに集中しているときに多く認められます。

3. 歯ぎしりはどうして悪い?
歯ぎしりをしているのは良くない、頭痛や肩こりなど身体の不調にもつながっているとは思っていても、歯や身体にどのように悪いのかわからないと、なかなかやめることが出来ませんね。
歯ぎしりは歯だけでなく、ここでは、歯ぎしりによる弊害を説明していきたいと思います。

①一緒に寝ている人の睡眠が妨げられる
ギリギリと歯ぎしりをする音が聞こえてくると、一緒に寝ている家族もなかなか寝付けなかったり夜中に起きてしまったりしてしまいます。
一緒に寝ている人が寝不足になって健康に支障がでることもあります。

②歯がすり減る
歯を使っている時間は、食事などだけなら一日に20分以下しか歯を接触させないのに歯ぎしりをしていると一日に何時間も歯を接触させてしまうので、毎日くり返していると歯の山や谷がなくなるくらいすり減ってしまいます。歯がすり減って平らになると刃物の同じで歯の切れ味が悪くなり、物がうまくかみ切れなくなってしまいます。それにより、さらに強く噛みしめる様になり、悪循環に陥ってしまいます。

③ 知覚過敏
歯ぎしりによって歯が揺らされることにより歯の根元に応力がかかり、歯の根元のエナメル質が剥がれたり削れたりして、根元の象牙質が露出してしまいます。そうすると、冷たい食べ物や、甘いもの、風にあたった時などにピキッと痛みを感じるようになることがあります。

④ 歯の破折
寝ているときの歯ぎしりでは、日中では考えられないほどの力が歯にかかってしまいます。
そのため、異常な力が歯にかかることがあり、歯が折れてしまったりヒビが入ってしまうことがあります。

⑤詰め物や被せ物が取れる
歯ぎしりによって治療を行ってある歯に異常な力がかかり、金属やプラスチック、セラミックでできている詰め物や被せ物が外れてしまいます。
また、セラミックの被せ物は欠けてしまうことがあります。詰め物や被せ物が、よく外れる人は、歯ぎしりをよく行っている可能性があります。

⑥顎関節症
寝ているときの歯ぎしりだけでなく、日中上下の歯があたっている状態は顎に負担がかかって、慢性的に顎が痛くなってしまうことがあります。顎の周辺の筋肉が長い時間緊張する事で、筋肉に疲労物質や発痛物質が、溜まり信じられないくらい痛みが出ることがあります。

⑦歯周病の悪化
歯周病は、歯茎に炎症が起こり歯茎が緩むため骨の支えがなくなってしまっている状態です。
支えが少なくなっている歯に、歯ぎしりの力が加わることによって、更に骨の支えが減っていってしまいます。

⑧歯の痛み
歯に強い力がいつもかかることによって、いわゆる使い痛みと考えられる不快感のある鈍痛を慢性的に感じるようになってしまいます。

⑨ 顔貌の変化
歯が擦り減って噛み合わせが低くなると、口角が下がり、口元のしわ増えてしまうことがあります。また、慢性的に咀嚼筋を使っていることで筋肉が鍛えられ筋肥大が起こり顔の形が下ぶくれになるジアステーマと呼ばれる状態になります。容姿も悪くなりますし、アンチエイジングのためにも歯ぎしりは、良くありません。

⑩ 頭痛・肩こり
噛む筋肉やその周囲の筋肉が緊張することになり、慢性的に頭痛や肩こりも引き起こされることがあります。

 

4.歯ぎしりの治し方

本来,人間の上下の歯が接触するのは,物を噛むときと飲み込むときだけです。 その接触時間の合計が、1日20分以下といわれています。もし噛みしめや歯ぎしり等を続けていると,歯の接触時間が何時間にも及ぶことになり、歯は異常にすり減り、咀嚼筋や顎関節は疲労疲弊してしまします。このような癖に気づいたらすぐにやめるよう心掛けることが大切です。 

歯ぎしり(噛みしめ)の習慣を止めるためには、まず噛みしめていないリラックスした状態を覚えることから始めましょう。まず,思い切り噛みしめてみてください.1~2秒後に,フッと顎の力を一度に全部抜いてみて下さい。上下の歯が僅かに離れるでしょう。その位置が理想的なリラックスした位置(下顎安静位)です。次に日中の「噛みしめ」に気づきましょう。仕事等に夢中になっている時,ふと気がつくとしっかり噛みしめていたり,舌を噛み続けていたりしていることが誰にでもあります.あなたは気づいたことがありますか?気づいたらすぐやめて顎の力を抜いてください。また日中意識のある時は、唇を閉じて歯を離すことを覚えてください。
「唇を閉じて,上下の歯を離し,顔の筋肉の力を抜く」ことを意識して努力してみましょう。このことを1日に何度も練習してみてください。この方法で顎の関節と筋肉は非常にリラックスし,緊張やこわばりから解放されます.そして筋の緊張によって引き起こされていた,顎や首のまわりの痛みは少しずつ引いていきます。

夜眠っているとき無意識下での噛みしめを防ぐことは、容易ではありません。自己暗示にかけることも一つの方法です。呼吸に意識を傾け,吐く時に脱力するのを繰り返しながら,手足やお腹が温かくなってくるのを感じてください。また,吐く時に,自分がリラックスできる言葉を唱えてみましょう.たとえば「リラックス,リラックス」「いい気分,いい気分」「楽だ,楽だ」等何でもよいです.また「噛んではいけないぞ」「歯を合わせない」「開いて寝る」等を言い聞かせます。
そして次の朝,今ある全ての症状が無くなって,すっきり爽やかに目覚めるあなたの姿をイメージしながら眠りにつくことを試みてください。

もう一つは、ナイトガードと呼ばれる歯を守るためのマウスピースを作って装着して寝ることです。マウスピースが、如何に機能するかは、上下の顎が、マウスピースを介して最も楽な位置関係にあるかにかかっていますので、ドラッグストアで市販されている既製品では、十分ではありません。いえさき歯科では、上下の顎の位置関係を中心位もしくは筋肉位に設定して患者さんそれぞれに応じてオーダーメイドで作製しています。来院回数2回、保険適応で7000円ほどのご負担で作製することができます。