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いえさき先生のコラム

かみ合わせ顎関節症

歯ぎしり、噛みしめの習慣がもたらす害

TCHという言葉をお聞きになったことはありますか?耳慣れない言葉ですね。

TCHとは、「Tooth Contact Habit」(ツースコンタクトハビット)の頭文字を取ったもので、上下の歯を無意識にすぐ充てる癖のことです。

ふだんものを食べていないときには、上下の歯は当たっていない状態で、上下の歯の間に1~2㎜のすき間があるのが正常です。食事や会話の際に瞬間的に接触はしますが、それでも1日24時間のなかではわずかな時間です。データでは、1日17分と言われています。

それがTCHのある人は、頻繁に歯ぎしり、噛みしめを行うために、歯や歯を支える歯槽骨、筋肉などが常に働いていて負担がかかった状態になってしまいます、そのため、歯のエナメル質が削れたり剥がれたりして冷たいものがしみたり、噛み合わせるときに痛んだり、歯が折れたり、詰め物が取れたりしてきます。ひどくなると、あごの関節が痛んだり、肩こり、頭痛など、歯だけでなく全身に影響が及びます。

とくに顎の関節に問題が起こってくると、口が開けにくい、口を開け閉めするときに耳の近くでボキボキ、ジャリジャリ、カクカクなど関節が音を立てる、痛むなどの顎関節症状まで出てきます。

「口が開きづらい」「音がする」「痛い」の3つの中で、2つ以上が該当する場合には「顎関節症」と診断されます。

加えて、歯ぐきに炎症がある場合は歯を失うリスクも高まります。炎症があり、なおかつ歯ぎしりやくいしばりによって上下の歯が強く当たって横揺れを起こすようなケースになると、前にご紹介した破骨細胞が活性化して、歯を支える骨が溶けやすくなってしまうのです。

このように、さまざまな悪影響が出るため、歯ぎしりや噛みしめ癖がある人、TCHのある人は、すぐに直すべきなのです。

そうはいっても、昼間の起きているときはともかく、夜寝ているときの歯ぎしりや噛みしめは、日ごろのストレスを無意識のうちに解消する行為のため、意識してやめることはできません。

じつは、寝ているときに歯ぎしりをする癖がある人は、日中起きているときにも歯ぎしり、噛みしめをしていることが多く、普段から気をつけることで症状を軽減したり、なくしたりすることもできます。

たとえば、長時間パソコンの前での作業が多い人は、パソコン画面の上など見えるところに、「噛みしめ注意」を喚起するシールを貼るなどして、つねに意識を向けるようにするのも一法です。私も歯ぎしり癖があったのですが、その方法で今は完全に克服することができました。

すでに歯ぎしりで口が開けにくい、関節が痛い、歯がしみるなど、症状が出ている場合は、マウスピースなどの対応が考えられます。

あるいは、寝る前にストレッチをするのも効果があります。ストレッチを習慣にすることで体がリラックスし、それによって寝ている間の歯ぎしりが減ったという人もいます。

いずれにしても、まずは歯科医院や病院の歯科で診察をしてもらうことが必要です。

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