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いえさき先生のコラム

コラム全身疾患

タバコの害

レストランや駅などの公共施設で喫煙が禁止されるように、最近ではタバコを吸う人の肩身がどんどん狭くなっています。病院はもちろん、歯科でも禁煙指導が進められています。感情的にダメというのではなく、喫煙の良し悪しを冷静にみていきましょう。

ご存じのように、たばこの煙にはタールやニコチンなど多くの化学物質が含まれています。そして、それらの大半は体にとって好ましくありません。ニコチンには筋肉特に血管を収縮させる作用があるため、血の流れが悪くなります。たとえば、切断した手を手術でつないでも、たばこを吸うと十分な血液が通わずくっつかないそうです。昔、ハエの幼虫であるウジ退治に、たばこの吸い殻をひたした水が使われていたのも同じです。体の営みは、血液によって酸素や栄養が維持されています。それを妨げると、いろいろな障害が起こって当たり前ですね。いろいろな化学物質(ケミカルストレス)や過労、酷暑・極寒などの厳しい環境(フィジカルストレス)、メンタルストレスなども交感神経を優位にしますが、同じように血液の流れが悪くなるので注意が必要です。

タバコを吸うと化学物質だけでなく、高温で乾燥した空気が口から気管、肺へ流れ込みます。口から奥の表面は粘膜ですから、熱く乾いた気体にさらされると乾燥し、場合によっては、やけどになります。粘膜は外界と体内の環境の境界にあり、体の中へ異物が入り込むのを防ぐ大切な免疫器官です。粘膜をいじめるのは体の抵抗力を弱めることにつながります。

口で呼吸する習慣のある人や口をポカンと開いている人は、普段から粘膜が乾燥気味なのでより注意が必要です。せきやたんは粘膜の表面についた異物を吐き出す反応です。せき・たんが増えるのは粘膜表面の汚れが増えるからです。ところが、粘膜がさらに乾くと汚れがたまるだけでなく、粘膜の外界とのバリヤーが十分に機能せず、体を守る機能も低下してもっとひどい状況になってしまいます。

たばこの吸い口が当たる前歯や上あごの奥歯の内側に黒い帯状の汚れがつくのは、タールなど唾液に混ざった物質が乾燥により沈着したものです。理屈は歯石も同じで、唾液中のカルシウムの沈着です。

パイプをくわえる習慣によって、前歯の歯並びが壊れることが知られています。紙巻タバコはやわらかいですが、歯が十グラム程度の力で動くことを考えると同じ事が起こっても不思議ではありません。

タバコを吸うと歯の表面や粘膜が乾くので、舌で舐めて歯や唇を唾液で濡らすことが多くなります。このとき歯を裏から押すことになり、歯並びが崩れたり歯がゆすられたりして歯周病を進めることになります。

また、たばこを吸う人はその周囲に煙をまき散らしています。煙には多くの害があり、周囲の人に影響を与えます。とくに副流煙といわれるたばこから直接出る煙にはアンモニアなどが含まれ、より悪い影響を与えると言われています。家庭内では家族や胎児への影響もあります。子どもでも歯が黒っぽく汚れたり、歯ぐきの色が変わったりします。精神的な安らぎを求めるなど、喫煙者の言い分もやしかに無視できません。でも、心筋梗塞や肺がん、胃癌、十二指腸潰瘍などいろいろな病気の危険性が報告されています。口腔がんではその多くにタバコが関係していると言われています。もちろん歯周病でも喫煙者の方が進行しやすく、歯の喪失も多くなります。

最近では、歯科でも禁煙支援をしているところが増えてきました。なかなか禁煙が進まないようなら、一度相談されてみてはいかがでしょうか。

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