いえさき先生のコラム
ジルコニアとは何でしょう?
目次
ジルコニアは高い強度と自然な白さを兼ね備えたセラミック系素材です。
奥歯や前歯の被せ物・ブリッジなどに適しており、最近は使われることが多くなりました。しかし、ジルコニアについて知らないことも多いので、詳しく調べてみることにしました。
ジルコニアとは
ジルコニア(化学名二酸化ジルコニウム)は、人工ダイヤモンド(キュービックジルコニア)使用されるセラミック素材で、非常に硬く耐久性に優れています。
歯科治療では、患者の歯の形に合わせてミリングマシンなどで精密に削り出すことで、被せ物や詰め物を作り出すことが出来ます。
金属を含まないため、金属アレルギーの心配がほとんどなく、白い色をしており、歯の白さをうまく表現することが出来ます。
ジルコニアは歯科材料だけでなく、研磨剤、触媒などにも使われ、最近注目されている材料の1つですが、いったいどのような製造法で作られているのか、またどのような用途に使用されているかは以外と知られていません。
このコラムでは、そのジルコニアについて詳しく調べてみましたことを分かりやすく説明していきます。
ジルコニアとはジルコニウム(Zr)の酸化物である酸化ジルコニウム(ZrO2)のことです。
ジルコニウム(Zr)はチタン族に属す光沢を持った金属です。
チタン族元素は、周期表第4族に属する遷移金属元素の総称で、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ラザホージウム(Rf)が、あります。
チタン族元素は、いずれも銀白色の金属で高い融点(1800℃以上)を持つことが知られています。
これらは遷移金属に分類され、原子価殻に4つの電子を持つため、一般的に4価の陽イオンとして存在しやすいですが、条件により低い酸化数(+3など)をとることもあるそうです。
また、ジルコニウムは遷移金属に分類されるレアメタルの一つでもあります。
その酸化物(ジルコニア)はさらに融点が高く優れたセラミックス材料として知られます。金属が参加するとセラミックになるのですね。アルミナもアルミニウムの酸化物でしたね。アルミナもセラミックとして古くから使われてきました。大気中では表面に酸化膜が出来るため、腐食もされにくい性質を持ちます。高温下では酸化物や窒化物をはじめ、各種化合物となります
ジルコニア(ZrO2)は白色の固体(粉体です。)
ジルコニアは靭性が高いセラミックとして知られ、機械的強度も高いため、刃物や工具などにも使用されています。
また最近では触媒などへの使用も増え、注目されているセラミックです。
それではセラミックとは何でしょう。セラミックスは非金属・無機の固体材料です。
固体材料のうち以下のものがセラミックになります。
非金属元素からなる材料(シリコンやダイヤモンド)と金属元素と非金属元素の組み合わせである無機化合物材料(酸化物、炭化物、窒化物など)
ジルコニアの特徴
純粋なジルコニアは温度変化によって結晶構造が変化していきます。少し難しく理解しにくい話ですが、イメージとしては温度が上がることで氷が溶けて形が変わっていくことをご想像ください。より具体的にいうと、常温から高温になるにつれて結晶構造が単斜晶→正方晶→立方晶へと変化していきます。ここで大事なのは、この結晶構造が変化することで、体積が大きく変わってしまいます。その結果結晶が壊れてしまいます。これは風船が膨らんで割れてしまうイメージです。
例えば車のエンジン周辺で使用すると、非常に高温になるため材料が壊れてしまいます。そこで開発されたのが、安定化ジルコニアです。これはジルコニアに安定化剤を入れることで、体積変化が抑制されます。安定化剤として、酸化イットリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどの酸化物を結晶構造中に固溶させると、立方晶のまま安定となり、体積の変化がなくなります。
このようにして改良されたジルコニアは、いろいろな分野で使用されています。
以下にはジルコニアの具体的な特徴を記載しています。
高強度・高破壊靭性
機械的強度は最も強いセラミックスの1つです。汎用的なアルミナとくらべても高強度であり、破壊靭性などの機械的特性に優れています。そのため刃物、ノズル、また歯科材料用途でインプラントとしても使用されています。
熱的特性
融点が2700℃で、最高使用温度も約1200℃と大変優れています。また熱伝導率が他のセラミックスに比べてかなり小さいこともあるので、耐火材や断熱材としても使用されています。
イオン伝導性
これは安定化ジルコニアが持っている特徴です。安定化剤の影響で結晶中に酸素空孔が形成され、電圧がかかると酸素イオンが移動し、電流が流れる性質があります。そのためジルコニアは酸素センサーなどにも利用されています。
ジルコニアの使用用途
ジルコニアには身近な歯科材料の他にもいろいろな場面で使用されています。
用途 具体的な用途の例
コンデンサー 積層セラミックコンデンサー
高屈折率材料 光学ガラス
触媒 自動車排気ガス浄化・石油精製プラント
酸素センサー 排気ガスの空燃比コントロール用のセンサー
歯科材料 人工歯・インプラント材料
その他 刃物・時計・電池材料・圧電センサー
近年ではジルコニアの触媒としての用途も広がってきています。
ジルコニアの製造方法
ジルコンを電気溶融することによる精製する乾式法と、ジルコンを水酸化ナトリウムで溶融してシリカを分離した後に塩酸で分解し、オキソ塩化ジルコニウムとして加水分解して精製する湿式法があります。
ジルコンとは、化学組成 ZrSiO4で表される、ジルコニウムのケイ酸塩鉱物です。純度は一般的に乾式法で99.0%、湿式法で99.5%となり、用途によって製造方法も異なります。基本的に電子材料用途などの高付加価値品は湿式方で製造されています。
乾式法で作られているもの タイル・瓦・研磨剤・耐火物
湿式法で作られているもの 触媒・電子材料・ファインセラミック(高付加価値品)