いえさき先生のコラム
ニケイ酸リチウムという素晴らしい素材について
スーパーエナメルに取り組み初めて13年になりました。スーパーエナメルは、歯を削ることなく、歯に直接セラミックを張り付けるだけで、最短2回の来院回数で歯を白くでき、歯並びも同時に整えられる素晴らしい審美歯科治療です。しかも、歯との接着力が、極めて高く、外れることも少なく、長期にわたっての信頼を得てきました。この美しさと信頼を得た接着力の基は、使用材料のイボクラー社のemax(イーマックス)にあります。emaxは、ニケイ酸リチウムを主成分とする審美歯科材料です。こうして13年間にわたる信頼を得られた理由の一つがこの素材の優位性にありました。
目次
今回は、このニケイ酸リチウムについて掘り下げてお話したいと思います。
ニケイ酸リチウムとは、emaxを含めたプレスセラミック呼ばれるセラミック材料の主成分となる曲げ強度360~400MPaを有するセラミックス材料です。ミックの曲げ強さが120Mpaですからかなりの強度です。曲げ強度400Mpaとは、だいたい40キロの力に耐える強さと考えてください。長石系セラ40キロとはかなり強い力ですが、その強い噛む力に耐える素材という意味です。
プレスセラミックは、金属のように溶かして圧をかけることで、鋳型に流しこんで固めて成型することが可能な素材であり、高温で熱することで溶融する特性があります。
古くはよく使われた長石系といわれる陶材よりも強度が優れていますが、長石系陶材よりも透明感に欠ける色調ではあります。長石系陶材の場合は、強度が弱く貴金属の裏打ちがないと使えませんでしたので、金属が光を遮断するため、透明感の表現には限界がありました。
ニケイ酸リチウムを単体の歯冠に使用した場合には、金属を使用しないため透明感や審美的表現については明らかに優位です。しかも非常に高い耐久性を持ち、作製かかる材料と時間が大幅に節約されコストパフォーマンスに優れています。
ニケイ酸リチウムの特徴について
ニケイ酸リチウムでつくったプレスセラミックはその審美性と耐久性から、前歯から奥歯まで幅広く使える素材として知られています。曲げ強度は、ガラスの一種ですので、強いと言いながらも弱く、少しのひずみで日々が入ることもあるので、連結冠やブリッジには使用できません。
プレスセラミック長所
透明感・色調性に優れ、見た目が良く、術後の変色がありません。
審美性に優れており、表面性状がなめらかで、静電気がおこらないので汚れや歯垢が付きにくいという特徴があります。
天然の歯を模倣する表現性があり、ケースに応じて審美性の高い修復物が製作可能です。
強度が高い
従来の長石系の陶材に比べると強度が倍以上と高いので、咬合力の強い患者さんにも十分おすすめできます。
強度の強さと接着強度の強さからセラミックインレーも可能で、従来のガラスセラミックやハイブリッドセラミックと比較して割れにくく、耐久性が高い材料です。
硬すぎないので自分の天然の歯を傷つけない
天然の歯より硬い素材を使った場合、噛み合う歯(対合歯)が過度にすり減ったり、顎関節に負担がかかり可能性があります。
ニケイ酸リチウムの詰め物や被せ物は、噛み合う歯(対合歯)を傷つけることなく、自分の歯を長持ちさせられるのです。
天然の歯と強固に接着する
ニケイ酸リチウムを使ったセラミックは接着材との相性が極めて良く、天然の歯との接着強度が70Mpk以上と強力です。
そのため、歯とセラミックの境目からはがれて虫歯菌が侵入することが少なく、虫歯(二次カリエス)になりにくいのです。
ニケイ酸リチウムのおすすめ
ニケイ酸リチウム使った素材は、このような患者さんにオススメできます。
銀歯を嫌う人
接客業など仕事で人に歯を見せることが多い
金属アレルギーがある人
忙しくて頻繁に歯医者へ通えない人
白い詰め物や被せ物がしたいけど、あまり高価なものは無理な人
ニケイ酸リチウムで作られるe-maxに注目が集まる
現在、歯科治療で使われる素材の中でもニケイ酸リチウムで作られるe-maxを代表とするプレスセラミックスという素材に注目が集まっています。
プレスセラミックとはどのような素材なのか解説していきましょう。
まずはe-maxについて
e-maxとは『empress max』(エンプレス・マックス)の意味を持つ、ニケイ酸リチウムが原料となっている素材です。e-maxは、当初エンプレス名称で発売されたプレスセラミックスです。エンプレスは、キャスタブルセラミックスと呼ばれていた素材がさらにプレス形式に移行しプレスセラミックスの初期型といえるでしょう。さらにその進化型がe-maxです。
e-maxなどのプレスクラウンによるセラミック歯の製作方法は2種類あります。
①セラミックブロックを技工所でファーネス(ミニ溶鉱炉のような機械)融解したのち圧をかけて鋳型に流し込んでて製作する。これが本来のプレスセラミックスの作製方法です。
②セラミックブロックをセレックなどのミリングマシンにより、その場で削りだしてCAM製作する
その後開発されたCADCAM技術を応用してミリングマシンを用いてe-maxのセラミックブロックを、患者さんの歯に合わせて削り出す方法が導入されました。
まとめ
ニケイ酸リチウムは審美性と耐久性を兼ね備えた素材であること、
ニケイ酸リチウムを原料に使用したプレスセラミックスは審美性と耐久性を兼ね備えたうえ加工のしやすさに優れた素材であることが分かりました。