いえさき先生のコラム

顎関節症が増えている

2019.09.04

顎がポッキッ、カクッと鳴ったら要注意です。

最近、若い女性を中心に顎関節症に悩む人が増えています。無症状なく経過することが多く、日本人の約半分は顎関節症をもっているともいわれています。虫歯、歯周病と並んで歯科の3大疾患と言われる非常にポピュラーな病気です。主な症状は、以下の3つです。

①口を大きく開けられない(機能障害)

②口を開けたり閉めたりするときに、カクカク音がする。(関節雑音)

③顎を動かしたときに関節が痛む。(疼痛)

これらのどれか1つでも当てはまる症状があれば、顎関節症と診断されます。当院にも顎関節症の患者さんが多く来院されています。ただ顎の関節が痛いというだけにとどまらず、嚙み合わせの異常と同じく、肩や首筋のこり、頭痛、めまい、耳鳴り、ドライマウス、眼精疲労、不定愁訴など、さまざまな不快症状を引き起こすことがあります。軽症であれば、セルフケアや生活習慣の改善だけで寛解することも多いですが、重症になると、指1本ぐらいしか口が開かなくなり、食べることもままならない状態になってしまいます。顎に何か違和感があったら、早めに歯科医のチェックを受けましょう。

顎関節症の原因について

顎関節症の原因については様々な説がありますが、私は嚙み合わせの異常が主な原因であると考えています。嚙み合わせが悪いと、顎関節のまわりの筋肉に過剰な負担がかかるため、筋肉が緊張し疲労が溜まって疲労物質や発痛物質が溜まって痛みが出やすくなります。また、顎関節部にも負担がかかり靭帯やクッションの働きをする関節円板がずれたり変形したりして、痛みが出たりカクカクなったりすることもあります。もっとも多く見られるのはこのケースですね。噛み合わせ以外の要因としては、食いしばりや歯ぎしり、片側噛み、横向き寝などの日常のクセがあげられます。歯ぎしりは就寝中に起こるので本人は気づきにくいのですが、長期にわたると歯が磨り減ってしまいます。そのため、歯が低くなり、噛む能力も落ちて顎関節に大きな負担がかかるようになります。それが顎関節症を引き起こすのです。我々専門家は、患者さんの顔を一目見ただけで、顎関節のまわりの筋肉が緊張しているのが分かります。顔つきまで変わってしまうのですね。

歯ぎしりの原因

歯ぎしりの原因は、ストレスです。ストレスというと、精神的なストレスを連想する人が多いですが、肉体的ななストレスなど様々なストレスがかかると、歯ぎしりや噛みしめをすることでストレスの発散を図っていると言われています。ストレス強い人や眠りの浅い人、嚙み合わせの悪い人、歯並びが悪い人に起こりやすいので要注意です。心当たりのある人は、夜間、歯ぎしり噛みしめを防ぐようにマウスピースをつけて眠るといいでしょう。も患者さん個々の噛み合わせに配慮したマウスピースをつける必要がありますので、歯科医に相談してください。

顎関節症の治療法

私が噛み合わせ治療を行うようになったきっかけは、一般の開業医に勤務していたころ患者さんの1人が顎関節症を発症したことでした。今でこそいえさき流の治療法で成果を上げられるようになりましたが、当時は治療法が確立されていたわけではなく、手探りの状態だったのです。現在でも、それぞれの歯科医が自分なりの理論に基づいて治療しているわけで、絶対的な方法があるわけではありませんし、患者さんの症状や原因によっても治療法は異なります。まずは、一般的な治療法についてお話したいと思います。顎関節症の主な治療法には、スプリント療法、理学療法、薬物療法、家庭療法、咬合調整などがあります。この中で最も多く行われているのは、スプリント療法です。これはマウスピースで噛み合わせを調整し、顎関節の負担を軽くするものです。マウスピースにはいくつかの種類があり、患者さんの症状によって使い分けます。このあと、咬合調整を行うこともあります。これは歯をわずかに削って噛み合わせを修正するのもで、私はスプリント療法と咬合調整を併用して治療にあたっています。この私の治療法ついては、あとに詳しく述べたいと思います。理学療法としては、歯科医が手で関節円板を正しい位置に戻す、徒手的関節円板整位術というものがあります。口が開けられなくなって間がない患者さんに有効だといわれています。また、マイオモニターという器械や超音波治療器などを使って筋肉の緊張をやわらげたり、血流をよくして症状の軽減をはかることもあります。

顎関節症の主な治療法

スプリント療法

マウスピースの装着によって噛み合わせを修正し、顎関節の負担を軽減する。

理学療法

器械で筋肉をマッサージしたりあたためたりして、緊張や痛みやわらげる。

薬物療法

痛みが強いときには、炎症を抑える鎮痛剤や筋肉の緊張をやわらげる筋弛暖剤が用いられる。精神的な要因が強いと思われるときは、抗不安薬や抗うつ薬が投与されることもある。

その他治療法

スプリント療法や理学療法と並行して、顎の機能訓練を行うこともあります。家庭で出来る訓練ですが、医師の指導のもとに行うことが大切です。また、これからの治療法で改善が見られず日常生活に支障をきたす場合には、外科的療法を行うこともあります。しかし、これは最後の手段で、きわめてまれなケースです。

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