いえさき先生のコラム
嚙み合わせが悪いとからだがゆがむ
正しい姿勢とはどんな姿勢をいうのでしょうか?
姿勢のチェックをするときは、鏡の前にまっすぐ立ちます。目を閉じて全身の力を抜きましょう。30秒ほどその状態を保ち、ゆっくり目を開けてください。からだが左右どちらかに傾いていませんか。左右の肩の高さや骨盤の高さは同じでしょうか。からだの軸が中央にあり左右対称になっている、横から見たときに、前かがみになったり反り返ったりせず、自然にまっすぐに背筋が伸びている、などが正しい姿勢の条件です。
身体は勝手に壊れないように調節する。
なぜ、嚙み合わせが悪いと、顔だけではなくからだまでゆがんでしまうのでしょう?1本の細い棒の上にボウリングの重い玉が乗っている。人間の骨格の構造をイメージするとこうなります。ボールが頭、棒が背骨ですね。実際、頭は成人だとボウリングの玉と同じくらいの重さなのです。ですから、常にバランスを保っていなければ倒れてしまいます。ところが嚙み合わせが狂い、顎関節の位置がずれると、頭部の重心もずれてしまいます。このように、人間の頭は微妙なバランスを保って背骨にのっているのですから、少しでも重心がずれると、本当なら倒れてしまうはずです。でも、そうはなりませんね。なぜなら、背骨や骨盤、膝の関節、足の関節などが、からだが倒れないように勝手にあちこち曲げたり締めたりしてバランスをとるからです。たとえば、噛み合わせに異常があって顎がずれ、右側の筋肉が過度に緊張したとします。その緊張は首や肩の筋肉に伝わり、頸椎から胸椎にかけても右に倒れてしまいますね。そこで、バランスをとろうとして、腰椎は逆方向、つまり左にカーブするのです。こうして無理に調節した結果、倒れずにすむ代わりに背骨はS字型にゆがみ、肩の線も骨盤も傾いてしまう、というわけです。こんなふうに、悪い噛み合わせは顎のずれを招き、頸椎や回りの筋肉を緊張させて頭を傾かせます。さらに頸椎から胸椎、腰椎、骨盤、脚へと緊張は連鎖して、からだ全体をゆがませるのです。このねじれが前後に起こると、猫背になってしまったりします。つまり、嚙み合わせが悪いと、姿勢まで悪くなってしまうのです。みなさんも経験があるかと思いますが、足に合わない靴を履いて歩き回ると非常に疲れるでしょう。足のアーチが崩れたり外反母趾になったりすることもあります。余計な負担をかけると、簡単に骨は変形してしまうのです。そして、筋肉の疲労し血行も悪くなり、膝の関節が痛みだし、という具合に、その弊害は全身に広がっていきます。歯の嚙み合わせもこれと同じです。ほんのちょっとしたバランスの崩れが、重大な結果を招くのです。