いえさき先生のコラム

原因とホワイトニングの効果の違い

2019.10.17

NeedsとWantsを知ることが大切

ホワイトニングという治療法が一般に広がることは、これまで自分の歯の色に思い悩んでいたものの、どのようにすればよいのかわからなかったという患者さんにとっては大きな副音となるはずです。白くて美しい歯を獲得することは、年齢や性別を超えて誰もが抱えている望みです。

ホワイトニングもほかの治療法がそうであるように、症例によっては審美性の回復に限界があります。したがって、正しく適応症を把握すること、適切なホワイトニング法を選択すること、処置期間あるいは効果の持続など、十分な情報を提供することが必要です。これらの情報は、ホワイトニング処置を始める前に患者さんに提示することになりますが、それらをわかりやすく歯科衛生士が説明してくれます。

白い歯を得たいと願う患者さんのNeedsとWantsを満たすために、第一に大切なものが情報の収集です。そのポイントは、下の表にあげたいくつかの項目にまとめられますが、これに沿うことによって患者さんの白い歯に対する考え方、あるいはホワイトニングを望む気持ちの強さなど患者さんの置かれている社会的環境や心理的問題点を抽出しながら総合評価するわけです。

ホワイトニングを成功させるために考慮すべき事項

  • 変色・着色の原因の把握
  • 患者ニーズの正しい理解
  • 患者の視点からの問題解決
  • コミュニケーションの確立
  • 治療結果の共有と共感

 

変色・着色の改善と患者満足度

変色あるいは着色の原因の違いは、処置法の選択に大きく影響を及ぼすとともに、色調改善の程度を予測するための重要ポイントにもなります。せっかく歯科医院を訪れたのに、自分の思い描く効果が得られなかったら、失望以上に憤りさえも感じてしまうかもしれません。したがって、治療効果に対する満足を与えるために、何をどのように提供すればよいのかを考えるとともに、患者満足度に影響を及ぼす因子について考える必要があります。

ホワイトニング治療後の患者満足に影響する因子について、これを受けた患者さんに対するアンケート結果を分析した報告があります。この調査によれば、ホワイトニングの満足度に寄与する因子としては、

  1. ホワイトニング法の種類
  2. 処置される歯数
  3. 処置に要する費用
  4. 術前の説明

が重要なものとしてあげられていました。驚くことに、治療後のホワイトニング効果あるいはその程度は、患者満足度にそれほど大きく寄与していないという結果でした。したがって、術前の詳細な検査とともに処置を受ける患者さんの個性を十分に見きわめ、変色の程度、治療法、治療期間あるいは費用についてしっかりと伝えることがとても大切なのです。変色あるいは着色の原因とその程度もまた重要な事項ですが、それ以上に患者さん自身がどのような思いをもって来院しているのかを十分に把握することが、ホワイトニング効果の満足度に大きく影響しているといえるでしょう。

歯の色の変化とホワイトニング効果

歯の色の変化は、その原因から歯の表面への有色沈着物の付着によるもの、歯の表面や硬組織内への色素沈着および歯自体の変色に分けて考えることができます。ホワイトニング後の患者満足度への影響因子を考えると、ホワイトニングに適する症例はかなり広範囲になることが理解できます。しかし、エナメル質あるいは象牙質形成不全、う蝕あるいは金属製コアや金属修復物を原因とした変色・着色は、通常のホワイトニングでは効果が期待できないので禁忌です。

これまでのホワイトニング関連の文献では、適応と禁忌との明瞭な区別が大切であることが強調されています。もちろん、それは誤りではないですが、ホワイトニングを望む患者さんとのコミュニケ-ションが、この処置法の成功、すなわち患者満足度に直結していることも理解する必要があるのです。

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