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いえさき先生のコラム

全身疾患口腔機能

奥歯を失うとどうしてボケるのでしょう?

奥歯を失うとどうしてぼけるのでしょうか?

奥歯を失うことでボケる理由は、次の4点と言われています。

①奥歯で噛めないので脳への刺激が減ってしまう②健康に必要な栄養が不足する奥歯が無いと摂取できる食べ物が限られ、脳に必要な栄養が十分摂れない。③奥歯を失うおもな原因となる歯周病が、脳に悪影響を与える

①奥歯で噛まないと脳への刺激が減るとどうなるのでしょう。

奥歯を使ってよく噛んで食べると、歯根のまわりや頬の筋肉が刺激されます。それらの刺激は神経を通じて脳に伝わります。それによって脳の血流も良くなり、脳細胞が活性化するのです。逆に、奥歯を失い、奥歯を使って噛まなくなると、脳の細胞が刺激されず、脳が老化して、認知症になりやすくなるわけです。

②どうして奥歯が無いと摂取できる食べ物が限られ、脳の健康に必要な栄養素が不足するのでしょうか?

奥歯が無くなると、硬いものが噛めなくなるために食べられないものが増え、そのために食事のバランスが悪くなります。その結果、認知症を防ぐ栄養素であるビタミンなどが不足してしまうのです。私の祖母は、早くに歯を失い、40歳代後半で総入れ歯になっていましたそのため長年柔らかいものばかり食べていたため、残念ながら、晩年は認知症になってしまいました。奥歯が無くても、合った義歯を使ってしっかり噛んでいれば認知症になっていなかったかもしれないところですが、40代後半から40年近く総義歯を使っていたため、晩年は顎の骨が瘦せ切っていて合った入れ歯が出来ませんでした。

それを思うと残念でなりません。

 

③奥歯を失うおもな原因となる歯周病が、脳に悪影響を与える

歯を失う最大の」原因が歯周病です。特に奥歯は歯周病が進行しやすく、歯周病になると歯ぐきが慢性的な炎症状態になります。慢性的な炎症によって生み出される物質(炎症性サイトカイン)や、歯周病の原因菌(以下、歯周病菌)が出す毒素、歯周病菌を退治するために出される活性酸素などが、血管に入って脳に運ばれ、さまざまな悪影響を及ぼすことが指摘されています。それだけではなく、近年、アルツハイマー型認知症の患者の脳から歯周病菌が見つかっており、歯周病菌自体が認知症を引き起こす原因になっていると考えられています。というのも、歯周病菌の一種であるポルフィロモナス・ジンジバリス菌(Pg菌)が出す酵素が、歯を支える歯槽骨を溶かし、歯ぐきの炎症を引き起こすだけでなく、脳においてアルツハイマー型認知症の原因物質であるアミロイドβを増やす働きをすることがわかってきたからです。

もともと、歯周病菌は血液の鉄分をエサにしており、血液を固める作用があるため、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高めることはわかっていました。脳梗塞は血管性認知症の大きな要因の一つです。つまり、歯周病になって奥歯を失うことが認知症の原因になるだけでなく、歯周病菌自体が直接的に認知症の原因になることが明らかになったのです。

このように、「奥歯を失うことが認知症のリスクを高める」ことがご理解いただけたと思います。これら3点のほかにも、奥歯がないとボケると考えられる理由はあります。

とくに大きいのが、人とのふれあいが減ることです。このことについてはまた後程述べたいと思います。