いえさき先生のコラム
歯磨き剤むし歯予防効果は、この数字で決まります。
値段の高い歯磨き剤が、予防効果が高いとは限りません。歯磨き剤の味や香りは、良いに越したことはありませんが、高いものは、味や香りや爽快感を重視しているものが多いように思われます。
値段の高い歯磨き剤には、フッ素の入っていないものがあり、そのような歯磨き剤にはむし歯予防効果は期待できません。
歯磨き剤は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」によって大きく2つに分けられます。
①化粧品の歯磨き剤②薬用(医薬部外品)の歯磨き剤の2つです。
化粧品の歯磨き剤には、むし歯や歯周病を予防するような成分は含まれていません。日本で初めて練り歯磨きを発売したのが、化粧品最大手の資生堂と聞いています。
薬用(医薬部外品)の歯磨き剤で、薬用成分として「モノフルオロリン酸ナトリウム」、または「フッ化ナトリウム」と書いてあれば、その歯磨き剤にはフッ素が入っています。
歯磨き剤は、フッ素が入っているかどうかで選ぶことが重要です。
フッ素濃度に関していえば、フッ素濃度が高いほうがむし歯菌予防効果が高く、そのぶん値段も高いようです。
成人の場合、高濃度のフッ素入りの歯磨き剤を使用するのがおすすめです。パッケージに「高濃度フッ素」とか「1450ppm(または1400ppm)」といった文字がある歯磨き剤です。
ちなみに、歯磨き剤におけるフッ素濃度(フッ化物イオン濃度)の上限は、日本では1000ppmでしたが、2017年より世界標準の1500ppmまで認められるようになりした。この範囲で使う分には健康上まったく問題がありません。
したがって、歯磨き剤のフッ素濃度は、この上限の中で、できるだけ高濃度のものが望ましいのです。
実際、北欧ではむし歯の人が少ないといわれます。これは歯が形成される子どものころからフッ素を利用しているからです。歯の成分にフッ素が多く含まれることで歯が強固になり、むし歯に強い歯になっているのです。このことは、予防歯科学の世界ではすでに常識になっていますし、一般的にも常識になりつつあるように感じます。
また、歯磨き剤の中には歯周病予防をうたったものも多くあります。歯磨き剤に含まれる薬用成分に効果がないとはいいませんが、歯周病予防効果に関しては、歯ブラシによるブラッシング自体の効果のほうが上回ります。