歯科Q&A

コンポジットレジンがつめてある歯もホワイトニングできるの⁈

2019.10.16

ホワイトニングの対象物

ホワイトニングの処置を行う口腔内には、硬組織と軟組織という生体以外に、さまざまな歯冠修復物が含まれているケースも少なくありません。口腔内のメインテナンスを行うにあたって、ホワイトニングという処置が口腔内に存在するさまざまな対象物にどのような影響を及ぼすかは、大きな関心事になります。

ホワイトニングの効果は、過酸化水素という酸化剤の作用によって、歯質の有機質成分が影響を受けることで発揮されると考えられています。歯質の硬さや表面粗さなどに関しては、臨床的なレベルでは何ら変化ないとされています。しかし、精密な精度を有する測定装置を用いると、超微細構造の変化や硬さの減少などがみられることが報告されています。軟組織においても、生体にはスカベンジャー機構(体内の不要物質や毒性物質を処理する機構)をはじめとしたいくつかの防御機構があり、過酸化水素などの外部侵襲から生体を護る準備は整っています。

それでは、同じ口腔内にある歯冠修復物についてはどうでしょうか。ホワイトニングによってどのような影響があるのか、興味がひかれるところです。

コンポジットレジンへの影響

ホワイトニングが歯冠修復物に及ぼす影響としては、表面性状、色調あるいは硬さ、機械的強さなどに分けて考えることができます。このうち色調に関しては、実験室環境で機械側色を行うと、明るくなる傾向を示すものの、肉眼では確認できなかったとされています。一方、口腔内のコンポジットレジン充填物で変化を測定した実験では、明かな色調変化が認められたとされています。特に口腔内において、その色調変化に効果が認められたのは、ホワイトニング剤による修復物表面からの着色物の除去効果によるものと考えられています。

コンポジットレジンの表面粗さに及ぼす影響では、粗さが増す傾向が認められますが、試片を唾液に保管する条件を加えると変化が認められなくなるようです。おそらく、唾液中のタンパク質などが修復物表面に吸着し、ホワイトニング剤の影響を緩和しているためと推測されます。

また、ホワイトニング剤が表面硬さに及ぼす影響に関しては、硬さが低下した、変化がない、あるいは上昇したというように、議論の一致はみられないようです。私たちの医局でも、ホワイトニング剤がコンポジットレジンに及ぼす影響について検討を行っていますが、弾性率といった物性あるいは色調変化はほとんど認められていません。実験に用いる材料の種類、試験片の重合硬化の状態あるいは表面処理の有無など、多くの実験条件が異なるところから、結果にも遠いとして表れているものと想像されます。

接着性への影響

ホワイトニングを終了した後に、残存歯質との色調適合性を向上させるために、コンポジットレジン修復をやり直すケースも少なくはありません。ホワイトニング後の歯質には、通常の歯質と比較して酸素の残留が多くなり、この酸素がレジンの重合を阻害することがわかっています。そこで、その影響がなくなる期間として、ホワイトニング後2~3週間経過してからレジン充填をやり直すことになります。

また、再修復するのではなく色調が不適合になった最表層のみを削除してやり直す、いわゆる補修修復という手段が選択されることもあります。しかし、この手法に関しては、とくに接着性に及ぼす影響についての実験室環境での検討はほとんどないことから、臨床術式の確立のための基礎実験が必要な領域です。

金属修復物への影響

ホワイトニング剤の金属修復物に及ぼす影響を考えるうえでは、アマルガムと金銀パラジウム合金の2つに分けて考える必要があります。

いずれの修復物も、その表面性状には変化が認められないとされていますが、特にアマルガムの場合では、合金からの遊離水銀が問題となります。もともとアマルガム硬化物には、残留水銀として約50%の水銀が含有されています。この硬化物が、ホワイトニング剤と接触することによって、製品の種類によってはコントロール群と比較して最高で30倍の遊離水銀が検出されたとの報告もあります。もちろん、特定のアマルガムとホワイトニング剤の組み合わせによって得られた値であり、患者さんの口腔内に充填されているすべてのアマルガムから生じる現象ではありません。しかし、微量金属の流出によるアレルギーの発生など未解明の事項もあることから、十分注意が必要です。

一方、歯科用金銀パラジウム合金では、ホワイトニング剤との接触によって、酸化還元電位が変更することがわかっています。

安全で快適なホワイトニングを行うためには、この処置が歯冠修復物に及ぼす影響についても、今後のエビデンスの蓄積が待たれるところです。

 

 

 

 

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