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いえさき先生のコラム

むし歯全身疾患

糖尿病と歯周病の深い関わり

ある日、私の医院に、「歯磨きをすると歯ぐきから出血して、血が止まらない」と訴える患者さんが来られました。

診せていただくと、歯と歯ぐきの境目から出血があり、明らな歯周病でした。

「歯ぐきにばい菌が入って歯周病になっていますね。だから出血しやすくなっているんです」とお伝えしたうえで、その場でブラッシングをしているうちに、出血は止まりました。

そのあと、こうお話しました。「糖尿病とか、ほかのご病気がある可能性があります。一度内科を受診してみてください」

そして次の来院日に、その患者さんに丁重にお礼を言われました。

「前回帰ってから、内科で診てもらったところ糖尿病がわかりました。重症で、このまま何もしないでほうっておくと、足を切断したり、透析したり、大変な事態になると脅されましたよ」

糖尿病は、ご存じのようにすい臓で作られるインスリンという糖を代謝するホルモンが十分に働かないために、血液中を流れる糖(血糖)の値が高いままになってしまう病気です。

血糖値が高い状態のままでいると血管がもろくなるため、放置すると心臓病や失明、腎不全、足の切断といった、重篤な合併症につながる恐ろしい病気です。

さらにやっかいなことに、歯周病も糖尿病の合併症の一つで、歯ぐきにある血管が傷つき、歯周病菌による感染が起こりやすくなることで発症します。そのため、すでに糖尿病の持病を抱えている方、血糖値の高い方は、歯周病への注意も必要です。

歯周病はまた逆に糖尿病を悪化させることが解っています。歯周病を起こした歯ぐきで作られた炎症性サイトカインという物質が、血液中に入り込みます。そして、その物質は、血糖を分解するインスリンの効きを悪くするため、糖尿病を悪化させてしまうのです。歯周病を治療すると糖尿病が改善することがあるのはそのためです。

ちなみに、アルツハイマー型認知症は「脳の糖尿病」とも呼ばれ、糖尿病になるとかかるリスクが高まる病気です。つまり、歯周病・糖尿病・認知症はとても関連が深い病気なのです。

ただし、糖尿病も歯周病も、どちらも最初はほとんど症状がないため、それらの病気に罹患しても初期には気付かないことがよくあります。

そのため、高血糖・糖尿病が歯周病を招き、歯周病が糖尿病を悪化させるという、両方が相互に影響して負のスパイラルに陥ることがよくありますので、注意したいところです。

歯周病も簡単には侮れません。