いえさき先生のコラム
口内の細菌叢を整えよう
口の中だけでなく、鼻、胃、腸など、人間の体の中には多くの細菌が棲みついています。最近の種類や量は、人によっても部位によってもさまざまです。
そして、これらの細菌は人と共存し、互いに影響し合っています。
腸の細菌の集まりである「腸内フローラ」は、体の健康に大きく影響することで一般にも知られていますが、最近は口の中にいる細菌の集まり「口内フローラ」にも注目が集まっています。
口の中にいる細菌の多くは、通常はほとんど病原性がありません。
しかし、増えすぎると人間の体にとって良くない、いわゆる悪玉菌もいます。歯周病やむし歯の原因となる細菌が、まさに悪玉菌ということになります。
歯周病の原因である歯周病菌は、酸素を嫌って歯と歯の間(歯間)や、歯と歯ぐきの境目の溝(歯肉溝)の中にいて、血液中の鉄分を栄養にして増えます。
もし、歯ぐきから出血している場合は、歯周病菌の格好の棲みかになっています。血液が漏れ出ているわけですから、すみやかに出血を止める必要があります。
もう一つの悪玉菌・むし歯菌は、とくに砂糖を好みます。
砂糖を過剰に摂ると歯垢(プラーク)が作られ、口内フローラのバランスが乱れて、むし歯菌が増殖し、むし歯を作り出します。
意識して砂糖を減らす食生活は、肥満や糖尿病などの生活習慣病を予防するだけでなく、歯の健康にとっても重要です。
ちなみに、料理で加ええる砂糖はその多くが唾液で流されていくので、口内フローラへの影響はそれほど心配ありませんが、とくに要注意なのがキャラメルやチョコレートなどの歯にくっつきやすいお菓子に含まれる砂糖です。
最近の研究で、口内フローラは腸内に影響を与えて、全身の健康状態にも影響を及ぼすことがわかってきました。
腸は、食べたものを消化して栄養分を吸収するだけでなく、細菌や毒素などが血液中に侵入するのを防いで、病気から体を守る免疫力をつかさどる場所でもあります。
動物実験では、大腸に到達した歯周病菌が、腸内フローラを乱して免疫力を下げ、関節炎を起こしやすくさせたり、慢性関節リウマチを悪化させたりすることがわかっています。
無数の細菌がバランスよく保たれた環境に口内フローラを整えることは、全身の健康にも重要なのです。
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