いえさき先生のコラム
歯列矯正の診察・治療の流れ②
➀初診
歯の状態を見て、どんな治療をするのか、大まかな期間・費用などについて説明を受けます。原則として費用はかかりません。
②精密検査
矯正をする前に行う診査は、形態分析と機能分析とに分けられます。形態分析には、
- 顔のバランスをみる
- 歯や歯列の大きさ、形などのチェック
- 顔の正面、側面からみて、頭蓋やアゴの骨などのバランスをチェック
- アゴの関節を断層写真でチェック
などがあります。また、機能分析は、現時点での噛み合わせについて、あらゆる角度からチェックを行います。こうして総合的に判断してから、どのような方式で、そして、どんな過程で治療を進めるかを決定することになります。
③検査結果の説明
検査結果をもとに、現在の歯の状態や治療方針、費用、機関などを確定し、患者さんが納得するまで、詳しく説明します。患者さんはこの説明を聞いた後に、矯正治療をスタートするかどうか、ゆっくり考えてから結論をだすことができます。
☆治療期間・・・・矯正の治療期間は次の2つに分類されます。
- 実際に歯を動かす期間(動的治療期間)➝1~3年
- 保定期間➝1年以上
部分的な矯正では、6ヶ月ほどで動的治療期間を完了するものもあります。また、治療期間を1/3ほどにほど短縮できる加速装置もあります。
☆治療方針・・・・大きく分けて、
- 歯を抜かないケース(非抜歯症例)
- 歯を抜くケース(抜歯症例)の2つに分類されます。
一般に、歯とアゴの大きさの不調和、上下アゴの大きさや位置の不調和が大きい場合は、抜歯が必要です。治療の範囲によって、次のように分けられます。
- 部分的なもの
- 上下アゴどちらかに限定したもの
- 上下アゴ全体
④装置装着の準備
治療のスタート時点でむし歯や口の中の清掃状態をチェックし、個々の状態に合わせた歯ブラシ指導をします。
⑤装置装着
矯正装置を取り付けます。装置装着にはインダイレクトボンディング法を用いて、1回1時間で装着が終わります。
⑥歯の移動(チェック)
3~4週間に1度来院し、歯の状態のチェック、ワイヤーの調節などを行います。
⑦装置撤去
装置を歯から外し、歯の表面をきれいに研磨します。接着剤はきれいにとれて、跡が残りません。
⑧保定
歯の移動が完了したあと、歯は元の位置に戻ろうとします。これを後戻りといいます。後戻りを防止するために、保定期間をとって保定装置(リテーナー)という装置を入れます。戻る理由は、歯肉や歯根膜に残っている記憶のためです。歯根膜は繊維の束ですが、歯を動かすとこの繊維の束の長さが、治療前とは異なってくるわけです。また、歯根膜も元の長さを覚えているので、移動した直後はその長さになかなかなじめず、前の長さに戻ろうとするのです。これが後戻りで、この記憶を消すためにある程度時間がかかるということなのです。
最初の半年間が一番戻りやすいので、この期間は一日中装置をつけます。次の半年間は12時間、さらに次の半年間は寝る時間8時間、というふうに、次第にリテーナーを使う間隔を伸ばしていき、戻らなくなったことを見極めていきます。矯正治療に2年かかれば、最低1年、できたら2年、あるいは成人の矯正ではもっと長期に保定が必要な場合もあると考えください。
⑨終了