いえさき先生のコラム
トレーナーを用いたこどもの矯正につながる筋機能トレーニング(MFT)
トレーナーを用いた筋機能トレーニング(MFT) を行っています。
歯を抜かず、固定式の矯正装置(ブラケット)を使わない、どもの歯並び矯正につながる筋機能トレーニングのご紹介です。
トレーナーを用いた筋機能トレーニング
一般的な矯正治療のイメージは、
「固定式の矯正装置(ブラケット)を使い、ワイヤーの張力で歯を動かすもの」
「そのために抜歯が必要になるもの」「痛い」
ではないでしょうか?
このような負のイメージから矯正治療の開始が遅れ、本当なら固定式の矯正装置なしでも改善できる簡単な症状も難しい症状になってしまうことがあります。
またお母様の中には、ご自身がこどものとき矯正をした経験があり、治療に対する悪い思い出をお持ちの方もおられるかも知れません。
こんなご意見をよく耳にします。
自分のこどもにはさせたくない・・・
その理由は、
固定式の矯正装置が不自由だった自分の歯(永久歯)を抜かれた
矯正中の痛みで苦労した
そして、
こどもには苦労させたくないと不揃いな歯並びを放置してしまう方もおられるようです。
しかし、矯正治療の開始が遅れることにより、
“固定式の矯正装置の使用”や“抜歯による治療”が必要になってしまいます。
そこでお勧めしたいのがトレーナーを用いたこどもの矯正治療です。
この方法でお子さんの“不揃いな歯並びの根本的な原因”から治療をします。歯や顎、顔の正常な発育を促すために、舌や唇、頬などを含めた口腔周囲筋の筋力を鍛えるトレーニングを主体に治療していきます。
こどものうちから口腔周囲筋を鍛えることは、きれいな歯並びに繋がります。
判定結果があまりよくない場合は、将来的な予測を含めてわかりやすく説明しておりますので、お気軽にご相談ください。
鏡と水に入れたコップを用意してチェックしてください。
①普段の舌の位置は歯と歯の間から出ているあるいは下の前歯を押している
②舌の脇に歯形のようなへこみがある
③唇を閉じて鼻だけでしばらく呼吸をすると苦しい
④いつも唇を開けている(お口ポカン)
⑤唇を閉じると筋肉が緊張し、オトガイ(下顎の先)にシワができる
⑥唇を閉じるとへの字になる
⑦水を飲むとき舌が歯と歯の間から出てコップを迎えにいく。
⑧水を飲むとき前歯で舌を咬む
⑨水を飲むとき唇に力が入る
⑩サ行やタ行を発音するとき歯と歯の間から舌が出る(英会話の“th”)
トレーナーを用いた筋機能トレーニング(MFT) 目的
まず最初に、開咬や上顎前突、下顎前突といった歯並びの不正について説明します。
食べ物を噛み切るのが困難な方もいます。
叢生:歯が重なり合って凸凹した状態の不正咬合。いわゆる八重歯・乱ぐい歯。歯磨きがうまくできず虫歯や歯周病になることも。
これらの不正咬合は生まれつきでしょうか?
以前は、ほとんどの場合親から受け継がれるものと考えられていましたが、最近の研究では、その多くが口周りの筋肉が弱く、バランスが悪く、また舌の位置が悪かったり、舌の悪習癖があると起こりやすいと考えられるようになってきています。
固定式の矯正装置を付けなくても口腔筋機能訓練のみである程度改善することもあります。矯正治療を成功させるためには口腔筋機能訓練の併用が必要な場合も多いのです。
具体的には、普段の舌は上顎についていて、唇は楽に閉じることができ、正しい嚥下(のみこみ運動)、発音・発声をできるようにして上げることが口腔筋機能訓練の目的です。
口腔機能の悪習癖も不正咬合の要因です
歯並びの成長を阻害する口腔機能の悪習癖には以下のようなものがあります。
先にご案内したように悪習癖を改善することも口腔筋機能訓練の目的です。
口呼吸
不正咬合と顔面成長を悪化させる可能性が大いにあります。
病原菌がのどの粘膜から直接取り組まれてしまうため、健康のためにも良いことではありません。
舌癖
普段何もしていない時に、舌が常に歯に触れていたり押し付けている場合はこの癖に相当します。
舌先は上の前歯のつけねの少し手前あたりに当たっている状態が正しい位置です。
たとえ小さな力でも舌の圧力によって歯並びは崩れてしまいます。
逆嚥下(舌突出嚥下)
歯が生えてきて噛む食事ができるようになってくると、噛んだものを口の中で集めて飲み込む(成熟型嚥下)ようになります。
しかし、子どもの中には乳児様嚥下から成熟型嚥下にスムーズに移行できない子もいます。
逆嚥下は乳児様嚥下とも言い乳児型嚥下に似ており、頬や唇に部分的な強い力が加わるため歯並びの崩れに繋がります。
口腔筋機能を育て、歯や顎を正しい成長に導く矯正器具
口腔筋機能トレーナー(T4K)は、乳歯から永久歯へのスムースな生え変わりと適切な顎の成長を目的に開発された治療器具で、次のような機能を持ちます。
口腔悪習癖の改善
シリコン製のやわらかい軟質タイプやポリウレタン製の硬質タイプがあり、実際の治療ではお口の状態に応じて
当院の口腔筋機能トレーニング
STEP1 問診
お母さんとこどもの歯並びに関するお話しをします。
STEP2検査
正しく機能していない口腔周囲筋を調べます。
STEP3説明
改善方法を判断し、これからの治療計画を説明します。
治療費に関するお話しなどもここでします。
STEP4治療
食べ方や飲みこみ方、発音方法のトレーニングを通じて、無意識下の時に舌や唇が正しい位置にあるようにしていきます。
通院は3週間~1ヶ月に1回程度、30分程のトレーニングをします。
治療期間は始める時期(年齢)によりますが、およそ2年くらいです。
初回時:
口腔筋機能トレーナーをお渡しし、ご家庭での使用方法を説明します。
ご家庭での装着時間は日中1時間程度と夜間の睡眠中になります。
口腔筋機能トレーナー(T4K)装着例:
ご自宅でのT4K装着をおろそかにすると口腔筋機能が鍛えられないため歯並びもきれいに整えることができません。
口腔筋機能療法(MFT)はお母さん方の協力も重要なファクターです。
口腔筋機能療法(MFT)の治療例
ご案内する治療例は7歳の時に口腔筋機能療法(MFT)を始めた女の子で“MRCシステムによる口腔筋機能訓練”を始めるには適齢期となる女の子でした。自宅できちんと口腔筋機能トレーナー(T4K)を装着され、トレーニングも欠かさず行われたので非常に良い結果となった治療例です。
治療開始前の写真
術後の写真
T4K装着によって口腔筋機能が鍛えられ、歯並びがきれいになってきました。しかし、口唇力(唇を閉じる力)が若干まだ弱いので後戻りを防ぐために口腔筋機能療法(MFT)は継続します。
ご自宅で使用するリップトレーナーの使い方を説明し、当面は1ヶ月に1回、口腔筋機能療法(MFT)のために通っていただき様子をみていきます。
口腔筋機能トレーニングの治療費
治療開始時380,000円(税別)
歯並びや歯の生え変わり状況によって口腔筋機能療法の難しさは異なってきます。
第一大臼歯(6歳臼歯:6番)が生え、第一小臼歯(4番)が生え始める前くらいが一番適齢です。
- 犬歯(3番)・第一小臼歯(4番)・第ニ小臼歯(5番)の側方歯群が生え始めていると、
- 口腔筋機能療法は少し難しくなってきます。
- 第ニ大臼歯(7番)が生えてくるとかなり難しくなるため、治療を検討されている方は早めにご相談ください。
基本的には、ワイヤー矯正(Ⅱ期治療)には移行しませんが、必要な場合は、
- 380,000円(税別)の追加費用で移行出来ます。
- トレーナーや矯正装置を含めて6個の治療装置の代金を含みます。7個めからは、追加費用が掛かります。
上記の年齢は目安です。
お口の状態、生え変わり状況によって判断し、詳しくご説明いたします。
発育期の矯正治療
4人に3人の子供たちに歯列不正
4人に3人の子供たちに歯列不正と顎の発育の問題があります。
なぜ、そんなにたくさんの子供たちが歯列不正を抱えているのでしょうか?
歯列不正の原因は口呼吸や異常嚥下等による口の周りの筋肉の間違った使い方です。必ずしも遺伝とは限りません。
通常、歯列不正と顎の発育の不調和は、大きな歯と小さな顎のアンバランスによるもので、遺伝的な問題があるとの理由から治療を先延ばしにされることが多く見うけられます。またそればかりでなく、抜歯の可能性も増えてしまいます。
しかし、最近の研究では筋肉の機能の不正として知られている口呼吸・舌の癖・異常嚥下が顎の発育不良の真の原因として明らかになっています。
つまりアレルギーや喘息、長期間の指しゃぶり、哺乳瓶やおしゃぶりの使用、態癖、姿勢による結果として歯列不正が生まれます。このように頬や舌、唇を含めたすべての筋肉の使い方は歯や顔の発育にとても大きな影響を与えます。
ブラケットをつけることや抜歯だけが矯正治療の手段ではありません。
一般的に永久歯が萌出する6~8歳頃、歯列不正に気づくことが多いと思いますが、多くの歯科医はすべての永久歯が萌出し、顎の発育が終了するまで治療を待つことをすすめます。
そして、その結果ブラケット治療や小さな顎に大きな歯が萌えるスペースが足りないとの理由で抜歯の選択が増えてしまいます。
しかし、それだけが矯正治療の手段ではありません。
- 治療目標
- 口を閉じている
- 舌はスポットと呼ばれる正しい位置にある
- 鼻で呼吸する
- これは正しい呼吸をするための条件です。
- 結果として生涯に渡る強い体を身につけることを可能にします。
そして歯並びもきれいになり、顔の発音も良好になります。 - しいては美しく整ったお顔になることでしょう。
筋機能訓練を取り入れた矯正治療
トレーナーは入れているだけでは治りません!
筋機能トレーニングが大切です!
治療前後の写真2枚
いえさき歯科では、子供たちの口の筋機能習癖改善のために、トレーナーの装着と口腔周囲筋のトレーニングを行っています。トレーナーは歯を動かすためのものではありません。改善された筋肉がきれいな歯並びを作っていくのです。
トレーニングによる好ましい結果として、良好な顔の発育と遺伝発生的な全可能性を達成することができます。(つまり本来、誰でもきれいな歯並びになる遺伝子をもって生まれてきているのです。)
その他にも口腔周囲筋の機能の改善は、正しい呼吸をすることを可能にし、姿勢やアレルギーの問題を解決してくれます。
早期に始めるほど子供たちは生涯に渡り、正しい口の筋機能習慣を身につけ、顎の成長ときれいな歯並び、顔の好ましい発育を得ることができるばかりでなく、正しい呼吸により病気にかかりにくい強い身体をつくることができるのです。
トレーナーはどのように働くの?
トレーナーは正しい舌の位置や、飲み込み方を習得するだけでなく鼻呼吸ができるように教えることができます。その結果改善された筋肉により、歯と顎の矯正を可能にしてくれます。自分の筋肉で歯や顎を矯正する装置です。
決して、トレーナーそのものが歯を動かし並べていくものではありません。改善された舌や頬の筋肉の機能は、歯をきれいに並べるだけではなく、顔面の正しい発育を誘導し、好ましい顔ぼうが得られます。さらに、抜歯やブラケット治療の必要性も減少させることができるのです。
なぜなら自分の筋肉が歯並びをきれいにしてくれます。
アクティビティの写真3枚
トレーナーを入れているだけでは治りません。
トレーニングされた自分の筋肉が歯並びを整えます。
トレーナーは治療の一部として最も重要ですが、すべてではありません。
トレーナーの働きを助けるものとして、舌、口、呼吸のトレーニングがあります。毎日のトレーナー装着時に実行することによって良好な治療結果を実現します。
このトレーニングは、勉強やスポーツ、ピアノのレッスンのように結果を得るためには毎日実行するという責任と粘り強さが要求されます。今までの悪い習癖を完璧になくすことによって、よりよい発育と安定した結果が得られます。
わかりやすいトレーニングのステップを楽しみながら実行することにより予想以上の結果が得られるばかりでなく、この時期に根気強さを身につけ何かをやり遂げることはとても大切なことだと私たちは考えています。
この記事のお問合せ先:大阪市阿倍野区西田辺のいえさき歯科
電話:06-6624-4500
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