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いえさき先生のコラム

セラミッククラウンラミネートべニア審美歯科歯周病

BTAテクニックを用いて歯肉ラインを美しく整える

BTAテクニックは、フォーラムデンタルクリニック院長の坪田健嗣先生が独自に開発した患者さんに負担をかけない素晴らしい治療法です。

BTA(Biological Tissue Adaptation 生物学的な歯肉組織の適合)テクニックは、セラミック治療を行う際に歯肉ラインを整えるために、行う、簡単で、痛みの少ない、患者さんに負担をかけない方法です。

この治療法によって左右バランスの良い歯肉ラインを作ったり、短すぎて不自然だった歯を長くしたり、歯肉の見え過ぎ(ガミースマイル)を治したりすることが比較的簡単にできます。

また、内側に入った歯を外側に出して美しく自然な仕上がりとする場合やセラミックで歯並びを整える際にも、たいへん有効な治療です。

通常、歯肉ラインを整えるためには矯正治療で歯を移動させたり、歯肉を剥離して歯槽骨を削る大掛かりな歯冠延長手術という外科手術をする必要がありました。しかし、そうすることで、患者さんに肉体的、精神的、さらには時間的、経済的な負担をかけることにもなります。

しかも、矯正治療なら移動させた歯の位置が後戻りしたり、それを防ぐために本来必要のない歯を削ってセラミッククラウンで連結することが必要になるかもしれません。大掛かりな外科手術を行っても歯肉が厚い場合には、歯肉ラインが後戻りする可能性も高くなります。また、削った骨が、もともと歯を支えていたのですから、歯自体が弱くなります。

そこで坪田先生が考えだされたのがBTAテクニックです。この治療法は、開発当初には従来の歯科医学からかなりかけ離れた非常識なものと考えられていました。しかし坪田先生の患者様の負担をなんとか減らして、歯肉ラインを整えることができないだろうかという強い思いから生まれたアイデアと絶え間ないチャレンジ精神で多くの患者さんへの施術と経過の蓄積によって、歯や歯肉に対して大きなリスクはなく、問題が起きたとしてもリカバリーできるものだと確信を持たれたとのことです。多くの長期経過症例から何年経過しても何も問題は生じず、審美性はもちろん、歯肉も健康に保たれることがわかったのです。また、その後の大学などでの研究データから科学的裏付けができ、エビデンスも得られるようになりました。

BTAテクニックでは、エレクトロサージェリー(電気メス)で1~3ミリほど歯肉切除を行い、その歯肉の厚みとほぼ同じ厚みにセラミッククラウンやラミネートべニアのマージン(縁)を作って装着します。後戻りをしようとする歯肉は、マージンでブロックされてしまい、マージンの形に適合してすき間がなくなると説明されています。

以前からインプラント上構造の治療では、BTAテクニックに似た治療が行われていました。インプラントは直径4~5ミリのものを使うことが多く、奥歯のセラミッククラウンを作る際には、歯肉のなかで大きく膨らませないと審美的で自然に見えるものは作れません。前歯の場合でも、やや内側にインプラントを埋入して外側に膨らませて作ることを多くの歯科医師が行っていましたが、やはり問題が起きることはありませんでした。そのため、天然歯に対して同じようなことを行っても問題が起きないのは、当然のことかもしれません。

坪田先生は、審美歯科学会での賞も受賞もされています。

2010年には、日本補綴歯科学会の「日本補綴歯科学会誌」にも論文が掲載され、続いてメジャーな歯科ジャーナルである「日本歯科評論」にも2号に渡って掲載されましたとのことです。さらに2012年に開催された第23回日本歯科審美学会学術大会(第12回アジア審美学会併催)では、英文によるBTAテクニックのポスター発表を行い、評議員による投票の結果、64の発表のなかから優秀発表賞(デンツプライ賞)を受賞されています。。

それではどういったメカニズムでBTAテクニックがうまく行くのでしょうか?

日本歯科評論のなかでは、東京歯科大学・病理学教授の下野正基先生が、BTAテクニックについての病理学的、分子生物学的見地から、その成功する理由について述べられています。BTAとは、生物学的な組織(歯肉)の適合という意味です。BTAテクニックによって歯肉組織(上皮)がセラミックに適合することで、歯肉溝や歯周ポケットはほとんどなくなり、細菌の侵入がおきにくくなります。

下野教授は、ラット(ネズミ)の歯肉を切除した後、すぐにその部分に樹脂(スーパーボンド)を接触して付けたところ、接着タンパク(ラミニン、インテグリン)の発現が起こることを確認し、BTAテクニックにおいても同じような現象が起きて、歯肉はセラミックに上皮付着を起こしていると推測しておられます。上皮付着が起こらずとも、BTAテクニックでは上皮が角化(角質化)せずに非角化した状態となり、滲出液が常に漏出して細菌の侵入から守ってくれるのです。角化した上皮は鎧のようなものでその部分から細菌が侵入することを防いではくれますが、防御するだけで攻撃の武器はもっていません。一方、非角化した上皮は、鎧は身に着けていませんが、浸出液による洗浄能力を有し、その液中には白血球、免疫細胞、抗体といういろいろな武器を手にし、いつでも敵の攻撃に反撃できるように準備している状態なのです。

BTAテクニックを行った歯肉とセラミックの境では基本的に隙間がないため、一度にたくさんの細菌の侵入はできません。仮にわずかな細菌が侵入できたとしても、大量の白血球などが攻撃してすぐに殺してしまいますので、たいへん強い防御システムになっているのではないかと考えられています。

さらにBTAテクニックを行った後の歯肉は、厚みが増すために血流や細胞の嗄声能力の点で有利になり、歯肉退縮も起きにくくなり、セラミック治療後に起こるブラックマージン(歯と歯肉の境目が黒くなる現象)や歯周組織のアタッチメントロス(付着の喪失)を防ぐことが可能となるとのことです。

歯と歯肉との境の窪みも少なくなるので歯垢が溜まりにくく、歯磨きもしやすく、日々のメインテナンスが楽というメリットもあるようです。最近では歯磨きが大好きという方が多く、良いことなのですが、歯に良いからと思って硬い歯ブラシでゴシゴシと一生懸命に磨くことで、かえって歯肉と歯にダメージを与えて歯肉が退縮してしまったり、歯根が楔状に削れてしまう方が多いように思われます。一方、BTAテクニックを行った歯肉は、多少歯磨きが強くても退縮を起こしにくくなりますのでそちらにも好都合ですね。BTAテクニックを使っての今後さらに多くのケースに応用できそうです。数多くの長所を持つBTAテクニックですが、現在、前歯だけにかぎらず、奥歯のセラミック治療やインプラントの審美的な治療にも積極的に使って行きたいと考えています。奥歯には歯根が2~4本あり、歯肉の退縮が起きると歯根の分岐部(股の部分)が露出してきます。そのような状態になってくると歯垢の除去が難しくなり、非常にやっかいな分岐部病変というものに進行する可能性が高くなってしまいます。しかし、BTAテクニックを用いると歯肉退縮を防ぐことができるため、分岐部が露出しそうになっている歯の分岐部病変への進行を防ぐことが可能と言われています。また、インプラント治療においても、積極的にBTAテクニックを用いることで、自分の歯のような自然な形態を作ることが可能となり審美性をより高めることができ、さらにインプラントと歯肉との隙間を失くして歯磨きをしやすくすることで、歯肉の健康を保つことも優位になると考られています。

このように、BTAテクニックは、患者さんに優しい、応用範囲の広い審美歯科治療の優れたオプションです。

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